セキュリティエンジニアは近年需要が高く注目される職種です。サイバー攻撃の増加に伴い各企業でセキュリティ対策の重要性が増し、セキュリティエンジニアのニーズは年々高まっています。一方で、仕事が「楽しい」と感じる人もいれば「やめとけ(やめた方がいい)」と言われることもあり、その実態に不安を感じる方もいるでしょう。さらに未経験からの転職や女性でもセキュリティエンジニアになれるのか、気になる点も多いはずです。本記事では、セキュリティエンジニアのロードマップ(キャリアパス)から求められる適性、そして転職戦略までを詳しく解説します。セキュリティエンジニアを目指す上での疑問や不安を解消し、長期的なキャリア形成のヒントをご提供します。
1. セキュリティエンジニアの仕事とは
セキュリティエンジニアは、企業や組織の情報システムをサイバー攻撃や不正アクセスから守る専門職です。ネットワークやサーバ、クラウド環境の安全性を確保し、脆弱性の診断や対策実施、新たなセキュリティ体制の設計・導入まで担います。
業務範囲は広く、技術力だけでなくリスクマネジメントや法令・規制への理解も求められます。情報漏洩対策やプライバシー保護を踏まえたポリシー策定など、技術面と管理面の両方で専門性が必要な責任あるポジションです。
1-1. 主な業務内容
・脆弱性診断:ネットワークやWebアプリの脆弱性を調査し、ペネトレーションテストなどで弱点を洗い出して改善します。
・セキュリティ監視:ファイアウォールやIDS/IPS、SIEMなどを用いてログを監視し、異常検知時に迅速対応します。
・ポリシー策定・運用:情報セキュリティ規程を整備し、アクセス管理や情報取扱ルールを定めます。
・教育・研修:社員向けにパスワード管理や標的型攻撃対策などの研修を実施します。
・インシデント対応:攻撃発生時の原因調査、被害範囲特定、復旧対応、再発防止策の立案まで行います。
予防から検知・対応、教育まで一貫して担う点が特徴です。
1-2 求められるスキル
・ネットワーク・OSの基礎知識:TCP/IPやLinux・Windowsの仕組みを理解していること。
・暗号・認証技術:SSL/TLS、公開鍵暗号、OAuthなどの知識。
・プログラミング力:PythonやBashなどでのスクリプト作成、コード読解能力。
・リスク分析力:脅威評価や優先順位付け、経営層への説明能力。
・クラウド・最新技術への理解:AWS等のクラウドセキュリティ、ゼロトラストやEDRなどの知識。
幅広いIT基礎の上に専門知識を積み重ねる職種であり、高い倫理観と継続的な学習姿勢も重要です。
1-3 セキュリティエンジニアを目指すなら「テックゴー」の活用がおすすめ
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2 セキュリティエンジニアのロードマップ
セキュリティエンジニアになるためのロードマップ(成長の段階)は、基礎から専門スキルまで段階的に習得していくことが重要です。いきなり高度なハッキング技術だけを身につけようとしても土台が無ければ応用が利きません。ここでは基礎段階・中級段階・上級段階の3つに分けて、それぞれ習得すべきスキルや知識の例を紹介します。
2-1 基礎段階
まずはITエンジニアとしての基礎力を固める段階です。セキュリティの専門知識に入る前に、土台となる一般的なITスキルを習得しましょう。
・ネットワーク・サーバの基本操作:コンピュータネットワークの基礎(LAN/WANの構成、ルーティングの概念など)や、Webサーバやデータベースサーバの立ち上げと設定方法を学びます。自宅で小規模なネットワークを構築したり、仮想マシン上にLinuxサーバを立ててみるといった実践で理解を深めると良いでしょう。
・OS(Linux/Windows)の基礎:Linuxコマンドラインの操作やWindowsの管理ツール使用法など、主要OSの基本を習得します。ユーザー権限の仕組み、ファイルシステム、サービスの管理方法などを知っておくことで、セキュリティ設定のポイントも見えてきます。
・基本的なプログラミング:セキュリティ分野では特にPythonなど扱いやすいスクリプト言語が重宝されます。簡単なツールを自作できる程度にプログラミングを学んでおくと、後々の業務や学習がスムーズになります。例えば、ファイル内のログをフィルタリングするスクリプトや、ネットワークポートをスキャンするプログラムを書いてみると良い練習になります。
・初級レベルの資格取得:基礎知識の証明として、初心者向けのセキュリティ資格に挑戦するのもおすすめです。例えば情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)は国家試験でセキュリティ基礎を網羅できますし、国際資格ではCompTIA Security+などがエントリーレベルに位置付けられています。資格勉強を通じて体系的に基礎知識を整理でき、履歴書上でもアピール材料となるでしょう。
・基礎段階のゴール:ネットワークやOSの基礎知識を身につけ、簡単なセキュリティ設定やスクリプト作成ができる状態が目標です。初級資格を取得できれば、自身の基礎スキルの棚卸しにもなります。この段階を終えると、セキュリティ運用チームの一員として見習い的に働き始めたり、ネットワーク/サーバエンジニアからセキュリティ分野へ軸足を移す土台ができます。
2-2 中級段階
次に、中級者として実践的なセキュリティスキルを高めていく段階です。基礎を固めた上で、実務で使えるテクニックや中級レベルの知識を習得していきます。
・脆弱性診断やペネトレーションテストの実践:実際に種々のツール(例:Nmapによるポートスキャン、OWASP ZAPやBurp SuiteによるWeb脆弱性診断)を使って、システムの脆弱性を洗い出す訓練をします。自分で管理するテスト用サーバに対して疑似攻撃を仕掛け、脆弱な点を発見・改善する流れを経験することで、攻撃者の視点と防御策の両面から学べます。
・ログ分析やセキュリティ監視ツールの利用:SIEM(Security Information and Event Management)ツールや各種ログ解析ツールの使い方を習得します。WindowsイベントログやLinuxの各種ログ、ネットワーク機器のログを読み、怪しい挙動を見抜くスキルを養います。また、SnortなどのオープンソースIDSを用いて侵入検知のルール作成に挑戦するのも良い経験です。
・中級レベルの資格取得:この段階ではCISSP(Certified Information Systems Security Professional)やCEH(Certified Ethical Hacker)、OSCP(Offensive Security Certified Professional)など、より難易度の高い資格を視野に入れます。例えばCISSPは経験要件がありますが、試験自体は知識の幅を広げるのに役立ちます(経験不足の場合「Associate of (ISC)²」として登録できます)。資格取得勉強を通じて、セキュリティ分野全般の知見を中級レベルに引き上げます。
・自動化スクリプト作成・セキュリティ手順の整備:Pythonでネットワークスキャンを自動化したり、定型的なログ分析をバッチ処理するなど、セキュリティ業務の一部を自動化できるようになります。また小規模でも構わないので、自社システム向けのセキュリティ標準手順やガイドライン策定に関わってみます。例えば「サーバ構築時のセキュリティ設定手順書」を作ってみるなど、ドキュメント作成を経験すると良いでしょう。
・中級段階のゴール:攻撃と防御の実践を通じて、「自分でセキュリティインシデントを発見し対応できる」レベルが目標です。ネットワークやシステム管理者に近い立場から一歩進み、専門家として脆弱性診断のレポートをまとめたり、セキュリティ方針を提案できるようになります。この段階になると、セキュリティエンジニアとして独立したポジションで働いたり、社内のセキュリティ専門部署に配属されるチャンスも広がるでしょう。
2-3 上級段階
最後に、上級者として高度な専門スキルとマネジメント力を身につける段階です。豊富な経験に裏打ちされた知識を活かし、組織全体のセキュリティをリードできる人材を目指します。
・高度なペネトレーションテスト・フォレンジック対応:高度なペネトレーションテクニック(バッファオーバーフロー攻撃の解析や、カスタムエクスプロイトの作成など)にも精通します。また、インシデント発生後のフォレンジック(デジタル鑑識)対応スキルも重要です。メモリダンプやディスクイメージを解析してマルウェアの挙動を分析したり、侵害の痕跡(IoC: Indicators of Compromise)を体系立てて洗い出せるようになります。
・クラウド環境のセキュリティ設計:大規模なクラウドインフラのセキュリティ設計や監査を行えるようになります。例えば、AWSならIAMポリシーやセキュリティグループ設計、各種ログサービス(CloudTrailやGuardDuty)の活用、AzureならSecurity Centerの運用など、クラウド特有のセキュリティサービスを使いこなして安全なシステム基盤を構築します。クラウドアーキテクチャ全体を見渡してリスクを評価し、セキュリティアーキテクトとしての役割を果たします。
・上級資格の取得:国際的にも信用度の高い資格であるCISSP(公認情報システムセキュリティプロフェッショナル)や、監査領域のCISA(公認情報システム監査人)、マネジメント領域のCISM(公認情報セキュリティマネージャ)などを取得できれば、知識・経験ともに上級レベルであることの証明になります。これらは高度な専門職への登竜門的資格で、保有者は企業から非常に高く評価されます。
・セキュリティチームのマネジメントや戦略策定:技術のみならずマネジメントスキルも磨き、セキュリティ部門のリーダーやCSIRTの統括責任者として活躍できる能力を身につけます。組織全体のセキュリティ戦略を立案し、予算や人員を確保してプロジェクトを推進する、といったビジネス視点での手腕も求められます。また経営陣や顧客に向けてセキュリティの重要性を説得し、施策を承認・実行していくためのコミュニケーション力も非常に重要です。
・上級段階のゴール:社内外で「セキュリティの専門家」と認知され、重要なシステムのセキュリティ責任者を任されたり、コンサルタントとして助言できるレベルが目標です。上級資格や実績を備えた人材は市場価値が高く、マネージャー職やシニアエンジニアとして年収1,000万円以上のオファーが来るケースも珍しくありません。この段階に至れば、セキュリティアーキテクトやCISO(Chief Information Security Officer)候補として経営に近い役割を担ったり、あるいは独立してセキュリティ分野のコンサルタントや起業家として活躍する道も開けてくるでしょう。
3 セキュリティエンジニアは楽しい?と言われる理由
セキュリティエンジニアという仕事は大変な面もありますが、実際に「楽しい」「やりがいがある」と感じている人も多く存在します。ここでは、セキュリティエンジニアの仕事が楽しいと言われる主な理由を3つ紹介します。
3-1 常に新しい技術に触れられる
サイバー攻撃の手口や防御技術は日々進化しています。セキュリティエンジニアはその最前線で最新技術に触れながら仕事をすることになるため、「飽きが来ない」「常に刺激がある」と感じる人が多いようです。実際、国内のセキュリティ業界で働く人への調査でも「新しい知識やスキルを身につけられていること」がこの仕事の大きな魅力として挙げられています。クラウド、IoT、AIを悪用した攻撃への対策、ゼロトラストネットワークの導入など、常に学ぶべきトピックが次々と現れるため、好奇心旺盛な人ほど楽しめる分野と言えるでしょう。
また、新技術を試したり新たな脅威に対抗策を講じることで、自分自身のスキルアップを強く実感できます。昨日知らなかった攻撃手法に対処できるようになったり、新しいセキュリティツールを導入して効果を発揮した際には、大きな達成感があります。こうした日々の成長実感が得られる点も、この仕事を楽しいと感じる理由の一つです。
3-2 社会的意義の高さ
セキュリティエンジニアの仕事は企業や個人の大切なデータを守る、社会的意義の大きな仕事です。重要な顧客情報や機密データの漏洩を防ぐことは、企業の信用と多くの人々のプライバシーを守ることにつながります。ひとたび情報が流出すると企業に莫大な損害が出たり、利用者にも被害が及ぶ恐れがありますが、セキュリティエンジニアはその被害を未然に防ぐことで大きく貢献できます。自分の働きが社会の安全や秩序の維持に直結していると考えると、強いやりがいを感じるでしょう。
また、実際にセキュリティインシデントを防いだり被害の拡大を食い止めた際には、周囲から感謝される場面もあります。例えば「おかげで助かったよ」「君がいてくれて安心だ」といった言葉をもらえれば、大変な苦労も報われる思いがするものです。こうした人や企業からの信頼や感謝を得られる点も、仕事の満足感・楽しさにつながっていると言えるでしょう。
3-3 成長実感が得やすい
セキュリティエンジニアは努力した分だけ自分の成長を実感しやすい仕事です。攻撃者の手口を理解し、防御策を講じていくプロセスで、自分の知識や対応力が日ごとに向上していくのがわかります。例えば半年ほど前は対応できなかった高度なサイバー攻撃に、今では適切な対策を打てるようになっていたり、以前よりも素早くインシデントを検知・封じ込められるようになっている、といった具合に成果が目に見えやすいのです。
また、セキュリティ分野は定量的な評価がしにくい部分もありますが、それでも自分が関わった施策で「インシデント件数が減った」「脆弱性診断で指摘される箇所が大幅に減少した」など明確な成果が出ることもあります。そうしたときには、自分の成長と貢献をダイレクトに感じられて嬉しいものです。ある調査では、未経験からエンジニア転職した人の84%が「仕事内容が面白い」と感じ、82%以上が「やりがいが大きい」と回答したという結果もあります。セキュリティエンジニアも例にもれず、頑張った分だけ得られる達成感・自己成長の喜びが大きく、「成長実感が持てるからこの仕事が楽しい」という声が各種口コミサイト上でも聞かれます。
4 セキュリティエンジニアはやめとけと言われる理由
前章まででセキュリティエンジニアの魅力を紹介しましたが、一方で「セキュリティエンジニアはきつい」「やめとけ」とネガティブに言われる理由も存在します。ここでは、その代表的な理由を3つ解説します。大変な現実も知った上で、自分に向いているかどうか判断する材料にしてください。
4-1 勉強量が膨大
セキュリティエンジニアとして働き続けるためには、常に最新の知識を学び続ける努力が欠かせません。サイバー攻撃の手法や新たな脆弱性に関する情報は日々更新されており、昨日まで有効だった対策が今日では通用しなくなることも珍しくありません。そのため、セキュリティエンジニアは業務時間内はもちろん、場合によってはプライベートの時間にも自己研鑽(資格取得の勉強や専門書・海外論文の読解など)を求められます。
特に新しい攻撃手法が次々と登場するこの分野では、「これで完璧」という終わりがありません。対策を講じてもすぐに次の課題や脅威が現れ、終わりのない学習を強いられる感覚に陥ることもあるでしょう。このような常態的な勉強漬けの日々に疲弊してしまい、「勉強量が多すぎて大変だ」という声が上がるゆえんです。
もちろん、学び続けること自体を楽しめる人にとっては問題になりにくいですが、そうでない場合にはプレッシャーになります。セキュリティ業界では「最新技術についていけなくなったら終わり」という厳しさがあるため、この点が「やめとけ」と言われる理由の一つとなっています。
4-2 プレッシャーが高い
セキュリティエンジニアは企業の機密情報や個人情報を守る極めて重要な役割を担っており、その責任の重さゆえに常に大きなプレッシャーと向き合うことになります。万が一大規模な情報漏洩やシステム侵入を許してしまえば、企業には莫大な金銭的損失や信用失墜が発生しますし、場合によっては法的責任を問われる事態にもなりかねません。そうしたリスクを背負って日々業務を遂行しなければならないため、精神的な緊張感は相当なものです。
特にセキュリティインシデント対応時には一刻を争う判断と対応が求められます。深夜でも休日でも緊急招集がかかり、限られた時間と情報の中で被害を最小限に抑える決断を下さなければなりません。対応が後手に回れば被害が拡大し、自社だけでなく取引先や顧客にも影響が及ぶ可能性があります。「何としても食い止めなければ」という重圧の中で働き続けることは、相当なストレス耐性が必要です。
また、セキュリティエンジニアの仕事は成果が見えにくい面もプレッシャーにつながります。理想的には「何も起こらないこと」が目標のため、日々の努力が社内では当たり前と受け止められ、称賛される機会は多くありません。一方で万一インシデントが起こればセキュリティ担当者の責任が問われます。周囲からの理解や評価を得にくく、失敗時のみ注目が集まるという環境は、精神的な負荷をさらに高めます。このようなプレッシャーの高さから、「心身ともにきつい仕事だ」として「やめとけ」と言われることがあるのです。
4-3 体力的・精神的負担
セキュリティエンジニアの仕事は体力面・精神面でのタフさも要求されます。不正アクセスやシステム障害は24時間365日いつ発生するか分からず、深夜や早朝に緊急対応を迫られるケースもあります。セキュリティ監視を担当するSOC(Security Operation Center)などでは夜勤シフトが組まれることもあり、不規則な勤務による生活リズムの乱れや睡眠不足といった負担は避けられません。特に重大インシデント対応中は原因が解明し復旧するまで数日間休みなく対応が続くこともあり、長時間労働や休日出勤で心身ともに疲弊しやすい職種です。
精神的な面でも、常に攻撃の不安と隣り合わせで業務を行うストレスフルな環境です。一瞬の気の緩みや判断ミスが大事故につながる可能性があるため、集中を切らさず注意深く仕事を続ける必要があります。また、往々にして「問題が起きて当たり前」の前提で仕事をするため、緊張状態が慢性化しやすいです。インシデント対応後も次に備えてすぐさま体制を立て直すなど、心休まる暇がないと感じる人もいるでしょう。「仕事に終わりがない」と言われるゆえんでもあります。
このように不規則かつハードな勤務や高いストレス耐性が求められる点は、セキュリティエンジニアの大変なところです。体力面・メンタル面で十分な準備とセルフケアができないと長く続けるのが難しい仕事であるため、「激務だからやめておけ」と忠告される場合があります。
5 未経験・女性でもセキュリティエンジニアに転職できる?
セキュリティエンジニアに興味はあるものの、「自分は未経験だけど大丈夫だろうか」「女性だけど活躍できるのだろうか」と不安に思っている方も多いでしょう。ここでは未経験者の転職可能性と女性の活躍について、それぞれ解説します。また、そうした方々が転職を有利に進めるためのポイントも紹介します。
5-1 未経験者の転職可能性
結論から言えば、未経験からでもセキュリティエンジニアへの転職は可能です。ただし、全く知識ゼロの状態からいきなりセキュリティ分野の専門職に就くのは難しいため、段階を踏んで準備する必要があります。まずは前述したロードマップの基礎段階にあるように、ネットワークやプログラミングなどITエンジニアとしての基礎スキルを身につけましょう。例えばITパスポートや基本情報技術者などの初歩的な資格取得から始め、続いてSecurity+や情報処理安全確保支援士などセキュリティ系の資格に挑戦すると、効率よく知識を身につけられます。
次に、実践的な経験を少しでも積むことが大切です。未経験者の場合、最初から高度なポジションに就くのは難しいため、セキュリティ運用や監視オペレーターのポジションからスタートするのが一般的です。大手企業や専門ベンダーでは24時間体制のSOCでアラート監視スタッフを募集していることがあり、基礎知識さえあれば未経験可の求人も見られます。また社内SEやネットワークエンジニアとして働きながらセキュリティ関連の業務を兼務し、実績を作ってから専門職に応募するといったキャリアパスも現実的です。
需要の高さも追い風です。深刻化する人材不足により、多くの企業が将来のセキュリティ人材を育成すべくポテンシャル採用(未経験歓迎採用)を行っています。実際、未経験からエンジニア転職した人の84%が「仕事内容が面白いと感じた」、82%以上が「大きなやりがいを感じた」とする調査結果もあります。正しい努力を積めば未経験でも十分活躍できる世界です。重要なのは「学び続ける意欲」を示すこと。資格取得や自主的なセキュリティラボ環境の構築、CTF(セキュリティコンテスト)への参加、セキュリティに関するブログ発信など、熱意とポテンシャルをアピールできる材料を用意しておくと良いでしょう。
5-2 女性でも活躍できる理由
ITエンジニア職全般で言えることですが、セキュリティエンジニアの仕事は性別にかかわらず活躍可能なフィールドです。評価基準はあくまでスキルや知識であり、身体的な力や性別に依存しません。実際、セキュリティエンジニアは技術力やトラブル対応力といった「スキル」が重視される職種であり、女性でも実力次第で正当に評価されキャリアアップできる環境が整っています。近年では女性のセキュリティエンジニア・コンサルタントも増えてきており、決して珍しい存在ではなくなりました。
女性が活躍しやすい理由の一つに、コミュニケーション能力や気配りといった対人スキルを活かせる場面が多いことが挙げられます。セキュリティ対策は技術部門だけでなく経営層や他部署との連携が欠かせません。専門知識のない相手にリスクを分かりやすく説明したり、チームで協力してインシデントに対処するといった場面で、女性に多いと言われる高いコミュニケーション能力が強みになります。実際に顧客との信頼関係を築き追加案件につながった例もあり、対人スキルは技術力と並ぶ武器となるでしょう。
また、昨今はIT業界全体で柔軟な働き方が広まりつつあります。セキュリティエンジニアの仕事もリモートで対応できる業務が多く、在宅勤務やフレックス勤務を選べる企業が増えています。育児や介護と両立しやすく、産休・育休制度が整っている職場も多いです。実際、女性エンジニアのアンケートでは「産休・育休後にスムーズに復帰できた」「テレワークのおかげで家庭と両立しやすい」といった声もあり、女性特有のライフイベントに対応しやすい業界だとの評価があります。
さらに、女性同士のコミュニティやロールモデルの存在も追い風になっています。PwCによる国内セキュリティ業界で働く女性の調査では、「身近にロールモデル(お手本となる先輩女性)がいる女性の7割以上が、仕事や組織に対する満足度が高い」という結果が出ました。これは裏を返せば、ロールモデルさえ見つけられれば多くの女性がこの業界で長く充実して働けているということです。現在活躍している女性セキュリティエンジニアも増えており、勉強会やコミュニティで情報交換やメンタリングを受ける機会もあります。「女性だから不利」ということは決してなく、むしろ意欲次第で女性ならではの強みを発揮しながらキャリアを築ける分野だと言えるでしょう。
5-3 転職を有利にする方法
未経験の方や女性の方がセキュリティエンジニアへの転職活動を有利に進めるために、有用なポイントをいくつかまとめます。
・初級資格の取得:前述のようにCompTIA Security+や情報処理安全確保支援士などの資格取得は強いアピール材料になります。特に情報処理安全確保支援士は国家資格で知名度が高く、基本的な知識を一通り身につけている証明になるため、未経験でも面接で評価されやすくなります。
・自宅での環境構築や演習:クラウド上や自宅のPCに仮想環境を作り、Linuxサーバを構築してみたり、脆弱性テスト用のDVWA(脆弱なWebアプリケーション)を動かしてみるなど、自主的に演習を行いましょう。未経験でも「自分でここまでやりました」という具体的な経験は、採用担当者に熱意と適性を示すうえで非常に有効です。最近ではインターネット上に学習用の仮想マシン(例:Metasploitable)やCTF風の問題を提供するサイトも多いので活用すると良いでしょう。
・ポートフォリオの作成:成果物を形にして示すことも検討しましょう。例えば、自分で作成したセキュリティスクリプトのソースコードをGitHubで公開する、セキュリティに関する技術ブログを書いて発信する、CTFで好成績を収めた記録をまとめておく、といったことです。これらは選考書類にURLを記載すれば企業側も確認できますし、「未経験だが自主的にこれだけのことをやっている」と高評価に繋がる可能性があります。
・エージェントやコミュニティの活用:IT業界に強い転職エージェントに相談し、未経験可のセキュリティ関連求人を紹介してもらうのも一つの手です。また、セキュリティコミュニティや勉強会に参加して人脈を作っておくと、情報収集や紹介で有利になる場合があります。同じ志を持つ仲間から刺激を受けることでモチベーション維持にも繋がるでしょう。
以上のような準備を進めれば、未経験や女性であることに過度に臆する必要はありません。市場はセキュリティ人材を求めており、人材不足も深刻化しているため、意欲のある人にはチャンスが多い状況です。大切なのは「継続して学ぶ姿勢」と「自分から情報発信・行動する積極性」です。それさえ示せれば、きっと道は開けるでしょう。
6 セキュリティエンジニアの将来性
サイバー攻撃の高度化・巧妙化に伴い、セキュリティエンジニアの需要は今後も増加すると予想されます。現に、2023年時点で日本のサイバーセキュリティ人材は約48万人と前年から23.8%増加したものの、需要は約59万人に上り依然約11万人が不足しているとの報告があります。経済産業省やIPA(情報処理推進機構)もこの人材不足を重要課題と捉えており、今後もセキュリティ人材の需要拡大が続く見込みです。つまり、セキュリティエンジニアは長期的に見ても安定したニーズが期待できる職種だと言えるでしょう。
さらに、技術トレンドの変化に伴って新たな専門性が求められる場面も増えています。クラウドの普及、IoT機器の爆発的増加、生成AIの活用拡大などにより、セキュリティの対象領域はますます広がっています。それぞれの分野で高度な専門知識を持ったセキュリティエンジニアは引く手あまたで、キャリアアップや年収向上の機会も豊富です。
6-1 専門性の需要拡大
今後特に需要が拡大すると考えられるセキュリティ分野の例をいくつか挙げます。
・クラウドセキュリティ:クラウド環境におけるセキュリティの知見は非常に求められています。企業の基幹システムがオンプレミス(自社設備)からクラウドへ移行する動きが加速しており、クラウド上で安全にシステムを運用する設計・管理スキルが必要です。AWSやAzure、GCPの認定セキュリティ資格を持つ人材や、ゼロトラストネットワークの設計経験者は、引く手あまたの状況です。
・AI/機械学習を用いた防御技術:サイバー攻撃側もAIを用いた自動化・巧妙化が進んでいます。それに対抗するため、防御側もAI・機械学習技術をセキュリティに活用する需要が高まっています。大量のログから異常を検知するAIモデルの開発や、未知のマルウェアを機械学習で分類・検出するといった取り組みが盛んです。AI×セキュリティの知見を持つエンジニアは貴重で、今後の成長株でしょう。
・IoTデバイスのセキュリティ設計:家庭や産業分野であらゆるモノがネット接続されるIoT時代、これらデバイスのセキュリティ確保も急務です。工場のセンサーや医療機器、自動車など、従来ITとは異なる領域のセキュリティに精通した人材が不足しています。組み込みシステムの知識や無線通信の暗号化技術など、IoTセキュリティの専門スキルを持つエンジニアは非常にニーズが高まっています。
この他にも、ブロックチェーン・暗号資産のセキュリティ、量子暗号やポスト量子暗号の研究、サプライチェーン全体のセキュリティ管理など、枚挙にいとまがありません。セキュリティエンジニアは一生勉強が必要と前述しましたが、裏を返せば新しい分野に挑戦し続けられる面白さがあり、自分の専門性をニッチな領域で高めれば高めるほど市場から希少人材として価値が高まります。
6-2 高年収の可能性
セキュリティエンジニアは専門性の高さゆえに、企業からの評価も相応に高く、平均年収は他のIT職種より高めに設定されていることが多いです。日本国内でもセキュリティエンジニアの平均年収はおよそ500万~800万円程度とされており、スキルや企業規模によっては1,000万円を超えるケースもあります。例えば実務経験3年未満の若手で400万~550万円、中堅(3~7年程度)で600万~800万円、リーダーやマネージャークラスでは800万~1,200万円以上という水準のデータもあります。これらはあくまで目安ですが、他のITエンジニア職と比べても高水準であることは確かです。
また、年収の伸びしろという点でも魅力があります。厚生労働省の統計によれば、セキュリティエンジニアは20代から40代にかけての収入上昇幅が他職種より大きい傾向が出ています。実際、ある転職支援のレポートでは「転職による年収増加額が最も大きかった職種はセキュリティエンジニア(+67万円)」との結果も報告されています。高度な資格を取得したり英語力を活かして外資系企業に転職することで、年収1000万円を超えることも十分可能です。
需要が高まる市場において、スキルを磨き経験を積んだセキュリティエンジニアは長期的に高い年収を維持しやすいとも言われます。さらにキャリアを積んでCISO(最高情報セキュリティ責任者)やセキュリティコンサルタントとなれば、経営層並み、あるいはフリーランスで顧問契約を結んで高報酬を得る道も開けます。金銭面での魅力が全てではありませんが、「専門性を極めて高収入も目指せる」というのはセキュリティエンジニアの大きな強みでしょう。
7 まとめ セキュリティエンジニアのキャリア戦略
セキュリティエンジニアは、基礎から段階的にスキルを積み上げていけば、未経験からでも挑戦可能で、長期的に成長できる職種です。やりがいが大きい一方で、継続的な学習やプレッシャーも伴うため、自身の適性や覚悟を見極めることが重要です。
キャリア形成の第一歩は、IT基礎力の習得と小さな成功体験の積み重ねです。資格取得や実務経験を通じて専門性を高め、クラウドやAIセキュリティなど将来性のある分野に強みを持てば、市場価値はさらに高まります。セキュリティ分野は継続学習が前提ですが、その分、専門性がそのまま武器になります。
なお、セキュリティエンジニアとしてのキャリアを具体化したい方は、IT特化型転職支援サービスTechGO(テックゴー)
の活用も有効です。求人紹介だけでなく、スキルレベルに合ったキャリア相談も受けられるため、方向性を明確にする助けになります。まずは無料登録で情報収集から始め、自分に合ったステップを見極めていきましょう。


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